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スイッチのルブ(潤滑)のやり方|打鍵音を変える手順を解説
メカニカルキーボードのスイッチをルブ(潤滑)する手順を、必要な工具・グリスの選び方から分解・塗布・組み戻しまで5ステップで解説。ジャリつく打鍵音がコトコトに変わる仕組み、リニア軸とタクタイル軸で異なる注意点、スタビライザーだけ潤滑する時短の裏技も紹介します。
CONTENTS目次
「打鍵音がジャリジャリして気持ち悪い」——安価なメカニカルキーボードでよく聞く不満です。
これは軸の種類が悪いのではなく、スイッチ内部の摩擦とスプリングの鳴りが原因です。そしてこの問題は、キーボードを買い替えなくても解決できます。
ルブ(潤滑)は、スイッチを分解してグリスを塗る作業です。手間はかかりますが、同じキーボードの打鍵音が別物になるという費用対効果の高いカスタムでもあります。
この記事でわかること
- 難易度: ★★☆(分解に慣れが必要だが特殊技術は不要)
- 所要時間: テンキーレス(TKL)約90キーで3時間前後
- 必要な費用: 工具+グリス一式で ¥2,399 前後
- 効果: スプリング鳴りと擦れ音の低減。打鍵音が低めに落ち着く
ルブで何が変わるのか
メカニカルスイッチの内部では、押し込むたびに以下の摩擦が発生しています。
| 摩擦の場所 | 発生する音 |
|---|---|
| ステムとハウジングのレール | 擦れる「シャリシャリ」という高音 |
| スプリング | 伸縮時の「シャリン」というスプリング鳴り |
| スタビライザー(長いキー) | ガチャつき、金属的な反響 |
ルブはこれらの接触面にグリスを塗り、摩擦そのものを減らす作業です。結果として高音成分が減り、低めで丸い打鍵音になります。打鍵音を言葉にすると、「ジャリつく」が「コトコト」に近づく変化です(音の感じ方には個人差があります)。
打鍵音の変化は主観的なものです。 同じ作業をしても、ケースの素材やキーキャップ、塗る量によって結果は変わります。「必ずこうなる」という保証はなく、ここでの記述は一般的に報告されている傾向として読んでください。
ルブに必要なもの

スイッチオープナーキット 1.75オンス GPL 205G0 キーボード潤滑剤 6個入り キーキャッププーラー スイッチプーラー ステムホルダー キーボードグリース メカニカルキーボード用 キースイッチとスタビライザー用スイッチ潤滑剤
ルブ(潤滑)に必要な道具が一式そろう入門キット。GPL 205G0 グリスとスイッチオープナー、各種プーラーが含まれ、これ1つでスイッチのルブ作業を始められる。
- GPL 205G0 グリス付属。約120個のスイッチを潤滑できる分量
- MXスタイルスイッチ専用のオープナー(亜鉛合金製)
- キーキャッププーラー/スイッチプーラー/ステムホルダー/ブラシの6点構成
¥2,399
AMAZON¥2,399
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ルブに必要な道具が一式そろう入門キットです。内容は以下のとおり。
- GPL 205G0 グリス(約120個分のスイッチを潤滑できる分量)
- スイッチオープナー(MXスタイル専用・亜鉛合金製)
- キーキャッププーラー / スイッチプーラー / ステムホルダー / ブラシ
実売 ¥2,399、レビュー件数 1630件。個別に買い揃えるより安く、初回はこれ1つで完結します。
グリスの選び方
| グリス | 粘度 | 向く軸 |
|---|---|---|
| GPL 205 GRADE 0(205G0) | 高め | リニア(赤軸系)・スタビライザー |
| 低粘度のオイル系 | 低め | タクタイル(茶軸系) |
| — | — | クリッキー(青軸)はルブに向かない |
クリッキー軸(青軸)にルブをするとクリック音が鈍ります。 青軸を選んだ理由がクリック感なら、ルブは目的と矛盾します。逆に「青軸を買ったが音がうるさい」という場合は、ルブではなく軸の交換が解決策です。
またタクタイル軸に205G0を厚く塗ると、山の感触が鈍ります。塗る量を減らすか、粘度の低いものを選んでください。
前提条件:ホットスワップ対応機であること
スイッチを外すには、ホットスワップ対応が必須です。非対応機ははんだの取り外しが必要で、難易度と保証リスクが跳ね上がります。
対応機の例を挙げておきます。

【Amazon.co.jp限定】RK ROYAL KLUDGE R65 ゲーミングキーボード 有線 日本語配列 メカニカルキーボード 60%コンパクトキーボード 70キー テンキーレス ホットスワップ可能 ボリュームノブ搭載 クリームスイッチ RGBバックライト PBTキーキャップ ガスケットマウント ブラック
1万円を切る価格でガスケットマウントとホットスワップを備えた60%機。潤滑済みクリーム軸とPBTキーキャップを採用し、日本語配列(JIS)で自作入門の足がかりになる。
- 潤滑済みクリームスイッチ・3/5ピン対応のホットスワップ機構
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1万円以下でガスケットマウントとホットスワップを備えた60%機。潤滑済みクリームスイッチが載っていますが、スタビライザーの潤滑には手を入れる余地があります。実売 ¥9,500。

「国内正規品」Keychron Q1 Ultra 8K メカニカルキーボード 2.4GHz/Bluetooth/有線 日本語配列 茶軸 ブラック | かな印字なし 75% 8000Hzポーリングレート CNCアルミ筐体 ホットスワップ対応 OSAダブルショットPBTキーキャップ RGBバックライト
Keychron のフラッグシップ 75% モデル。CNCアルミ筐体+ダブルガスケット構造で、8000Hzポーリングレートとカスタム性を両立する。日本語配列(JIS)を選べる数少ないハイエンド機。
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CNCアルミ筐体+ダブルガスケット構造のハイエンド機。ねじ込み式スタビライザーを採用しており、カスタムの伸びしろが大きいモデルです。日本語配列(JIS)を選べるハイエンドのホットスワップ機は貴重です。Amazon ¥31,944・楽天 ¥39,930 と価格差が大きいため、購入前に両方を確認してください。
手順
ステップ1: キーキャップとスイッチを外す
キーキャッププーラーでキーキャップを外します。真上に引き上げるのがコツで、斜めに引くとキーキャップの内側の軸受けを傷めます。
続いてスイッチプーラーでスイッチを引き抜きます。基板に対して垂直に、両側のツメを確実に挟んでから引くこと。斜めに抜くとスイッチのピンが曲がります。
ピンが曲がった場合、そのまま挿し戻すと基板側のソケットを傷めます。ピンセットで慎重にまっすぐ直してから挿し直してください。
ステップ2: スイッチを分解する
スイッチオープナーにスイッチを載せ、上から押し込みます。トップハウジング(上側のケース)が外れ、内部が以下の3点に分かれます。
- ステム(軸。色が付いている部分)
- スプリング
- ボトムハウジング(下側のケース)
スプリングは小さく、飛ばすと見つかりません。受け皿かトレーの上で作業してください。
ステップ3: ステムに塗る
筆にグリスをごく少量取り、ステムの**側面(レールに接する面)**に薄く塗ります。
塗りすぎが最も多い失敗です。 「筆に取ったグリスを一度ティッシュで落としてから塗る」くらいで十分。厚く塗ると動きが重くなり、キーの戻りが鈍くなります。
タクタイル軸の場合は、山を作っている突起部分(脚)には塗らないでください。ここに塗ると狙っていた感触が消えます。
ステップ4: ハウジングとスプリングに塗る
ボトムハウジングのレール部分(ステムが上下する溝)に薄く塗ります。
スプリングは2通りの方法があります。
| 方法 | 手順 | 向く場面 |
|---|---|---|
| バッグルブ | 袋にスプリングとグリスを入れて振る | 数が多いとき。手早い |
| 1本ずつ塗る | 筆で個別に塗る | 仕上がりを揃えたいとき |
初回はバッグルブで十分です。スプリング鳴りが気になるなら、あとから個別に塗り直せます。
ステップ5: 組み戻して確認する
スプリング → ステム → トップハウジングの順に戻し、四隅のツメがはまるまで押し込みます。
ここが最も重要な工程です。数個組んだ時点で一度キーボードに挿し、打鍵音と感触を確認してください。 90個すべて塗ってから「重すぎる」と気付くと、全部やり直しになります。
時短の裏技:スタビライザーだけ潤滑する
「3時間は無理」という人へ。効果が最も分かりやすいのはスタビライザーです。
スタビライザーはスペースキー・Enter・Shift・Backspace など長いキーを支える補助機構で、ここのガタつきが「ガチャガチャ」という耳につく音の正体になっています。
対象は5〜7か所程度、作業時間は30分ほど。全スイッチのルブに比べて労力は10分の1以下ですが、体感の改善は決して小さくありません。
まずスタビライザーだけ試して、効果を実感してから全スイッチに進む——これが現実的な順序です。
ビフォーアフター:何がどう変わるか
| 項目 | ルブ前 | ルブ後の傾向 |
|---|---|---|
| 高音成分 | シャリシャリ / ジャリつく | 減る |
| スプリング鳴り | シャリンと響く | ほぼ消える |
| 打鍵の滑らかさ | 引っかかりを感じることがある | スムーズになる |
| スタビライザー | ガチャつく | 静かに沈む |
| キーの戻り | 速い | 塗りすぎると鈍る |
ルブで解決しないもの
- 青軸のクリック音(機構が鳴らしている音のため)
- ケースの空洞による反響音(内部フォームで対策)
- 底打ち音そのもの(静音リングやキーキャップで対策)
打鍵音を発生源ごとに整理した対策は静音メカニカルキーボードの選び方にまとめています。
ルブより先に軸交換という選択
「そもそも今の軸が合っていない」という場合、ルブでは解決しません。

OUTEMUスイッチ、3ピンホットスワップ可能 - Cherry MX相当のDIY交換用パック、メカニカルゲーミングキーボード用-ペアレント(ブルー、90個)
Cherry MX互換のOUTEMU青軸スイッチ。ホットスワップ対応機であれば工具だけで打鍵感を丸ごと変えられるため、軸の違いを実際に試したい人の比較用に向く。
- OUTEMU 青軸(クリッキー)・作動力 約50±15gf・5000万回試験
- 3ピン仕様。Cherry MX互換でほとんどのメカニカルキーボードに対応
- ホットスワップ基板と手動はんだ付けの両方に対応
¥5,110
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Cherry MX互換のOUTEMU青軸を90個セットで入手できます(作動力 約50±15gf、5000万回試験)。ホットスワップ対応機なら、工具だけで打鍵感を丸ごと変えられます。
「赤軸を買ったがクリック感が欲しくなった」「軸の違いを実際に試したい」——こうした場合はルブより軸交換が近道です。各軸の特性は赤軸・青軸・茶軸の違いで解説しています。

「国内正規品」Keychron K2 Max スペシャルエディション メカニカルキーボード 2.4G/Bluetooth/有線 日本語配列 バナナ軸 | ワイヤレス 75%レイアウト QMK ウッド+アルミフレーム White LEDライト Keychron Super スイッチ Mac/Windows/Linux ホットスワップ対応
Keychron K2 Max のスペシャルエディション。ウッド+アルミフレームの75%ワイヤレス機で、日本語配列(JIS)とバナナ軸を選べる。QMK対応でキーマップも変更できる。
- Keychron Super バナナ軸・ホットスワップ対応(5000万回耐久)
- 日本語配列(JIS)の75%レイアウト
- 2.4GHz(1000Hz)/Bluetooth 5.1で3台/有線の3モード接続
¥17,336
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Amazonで購入するRAKUTEN¥22,550
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これから買うなら、ホットスワップ対応機を選んでおくと後々の選択肢が広がります。Keychron K2 Max SE は日本語配列(JIS)の75%ワイヤレス機で、バナナ軸(タクタイル・5000万回耐久)を搭載。Amazon ¥17,336・楽天 ¥22,550。
まとめ
- ルブはスイッチ内部の摩擦とスプリング鳴りを減らす作業。打鍵音が低めに落ち着く
- 必要なのはグリス(GPL 205G0)と工具一式のみ(実売 ¥2,399 前後)
- ホットスワップ対応機であることが前提。非対応機ははんだ作業が必要
- 静電容量無接点方式(HHKB / REALFORCE)は構造上ルブの対象外(→静電容量無接点方式とは)
- 塗りすぎが最大の失敗。数個組んだ時点で必ず確認する
- クリッキー軸(青軸)とタクタイル軸の山部分には塗らない
- 時間がないならスタビライザーだけでも効果は出る
- スイッチを分解した時点でその部品は保証対象外。自己責任での作業
打鍵音の問題を体系的に整理したい場合は静音メカニカルキーボードの選び方を、そもそもどの軸を選ぶべきか迷っている場合は赤軸・青軸・茶軸の違いをご覧ください。ホットスワップ対応の機種選びは予算3万円以下のメカニカルキーボード7選が、スイッチそのものを載せ替える手順はホットスワップで軸を交換する手順が参考になります。キーキャップを外すついでに交換も検討しているならキーキャップの選び方とおすすめで素材別の打鍵音の違いを解説しています。
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